スタートアップ企業や大学発のベンチャー企業を中心にサポートされている東谷先生。特許や意匠、商標などの知財の権利化だけでなく、事業計画や資金調達など経営を全面的にサポートされています。そんな先生に事務所の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
資格
弁理士
MBA
中小企業診断士
東京工業大学非常勤講師
先生が弁理士になったきっかけは?
大学卒業後は株式会社ベンチャーセーフネットという会社に就職しました。そこは大手の研究開発機関に社員を派遣し、技術を学ばせて、どんどんベンチャー企業を作っていこうという会社でした。ベンチャー企業、いわゆるスタートアップの起業に携わることができたらという思いで就職し、10年間大手の製薬会社で研究開発業務を行っていたのですが、徐々にベンチャー企業を作っていこうという会社から技術派遣がメインの会社に変わっていきました。私としてはやはりベンチャー企業に携わっていきたいという思いがありましたので、なにができるか考えたときに、知財の面からベンチャー企業をサポートできる弁理士に魅力を感じ、資格取得を目指したことがきっかけです。
横濱萬国特許事務所の特徴って?
「起業家支援でまちづくり。」をコンセプトに、スタートアップ企業や大学発のベンチャー企業をメインにサポートしています。横浜市内でどんどん新しい会社が立ち上がることで、横浜市内にもスタートアップ・エコシステムを作ることができたらと考えています。ちょうど関内にあった横浜市庁舎が移転したため、その跡地の開発で、スタートアップ企業の拠点にしていこうという動きもあります。
当事務所では、スタートアップ企業の特許や意匠、商標などの知財の権利化だけではなく、事業計画を考えたり、補助金や融資などの資金調達やベンチャーキャピタルのご紹介なども行っており、知財をあくまで1つの手段として経営を全面的にサポートしているところが特徴です。当事務所には起業を検討されている方もよくご相談に来られます。また、跡を継がれた中小企業の経営者の方が第二スタートアップとして新しく事業を興し、急成長させたいといったご相談もございます。
企業の成長に役立つのであれば、知財の権利化をご提案させていただくのですが、必ずしも権利化すればいいというわけではありません。特許を取得することで、技術やノウハウは世の中に公開されてしまいますので、模倣される可能性があるものは、逆にクローズ(秘密)にして守る方法をご提案させていただくこともあります。
ご相談の際は、経営者の方の意思を大事にしており、ただ一方的にこれをやってくださいとアドバイスをするというよりも、色々とお話を聞かせていただいて、一緒に考えて事業を成長させていくことを心がけています。
今後の弁理士業界についてと先生の展望を教えてください。
大量生産、大量消費、大量出願という時代があったのですが、大手企業と付き合いのある大手特許事務所の一部を除き、そういったモデルはなくなってきています。
昔は特許などの知財の権利化だけを目的としている事務所が多かったのですが、今の時代はそれだけでは成り立たなくなっているので、あくまでも知財の権利化は1つの手段として考え、経営全般をサポートしていくコンサルティング能力が今後は求められていくと思っています。先ほどお話したクローズ(秘密)にして守る方法をご提案することも1つです。
日本の電機業界の衰退の要因は知財戦略の失敗にあると言われています。むやみやたらに特許出願を行ったために、技術やノウハウが漏れてしまい、電機産業が諸外国に太刀打ちできなくなってしまいました。
経営の視点からも考えて、秘密にできるところは秘密にして、出願すべきところは出願する、そこを慎重に見極めて、ご提案できるような特許事務所が増えていけば、国力も上がると思います。目先の利益のことだけを考えてなんでも特許出願していくのではなく、知財戦略を考えて、日本の経済成長に貢献していくことが弁理士の使命だと思っています。
現在「起業家支援でまちづくり。」をモットーに横浜市の関内を中心にネットワークを広げています。横浜市は意外にもスタートアップ不毛地帯と言われているのですが、それは逆に伸びしろしかないわけです。横浜市はブランド力もあり、保守的なところを打開していけば日本一のスタートアップ拠点になると思っているので、今後の展望としては、スタートアップ・エコシステムの形成に貢献していきたいと考えています。そして、横浜で作ったシステムを仕組化して、日本全国の各地域に合わせてカスタマイズしながら提供していくことで、日本経済の成長に貢献したいと思っています。