製造メーカーでの開発者と企業知財部の両方を経験されている、弁理士としては珍しい経歴をお持ちの垣内先生。これまでの経験を活かした幅広い視野で、お客様ファーストの対応をされています。そんな先生に事務所の特徴や今後についてなどインタビューさせていただきました。
資格
弁理士
電気通信主任技術者
高圧ガス製造保安責任者(甲種機械)
先生が弁理士になったきっかけは?
大学卒業後は製造メーカーで設計エンジニアをやっており、特許出願にも開発者として携わっていました。その際に、初めて弁理士という職業の方に出会ったことで、興味を持ち、どんな資格、仕事なのか色々と調べ、漠然と難しそうな資格だなと思っていました。
それから10年ほど在籍したのち、新しい分野にチャレンジしてみたいと考えるようになり、弁理士について調べていたことがきっかけとなって、知財の道に進むことにしました。
まず、東京の特許事務所で2年ほど実務経験を積みました。それからパチンコ、パチスロを扱う企業の知財部に転職し、企業知財にも携わりました。企業知財をしているときに、武和国際特許事務所と取引があり、それがご縁となって、「武和に来てくれないか?」と誘いを受けたので、円満退職後に転職。今に至っております。
武和国際特許事務所の特徴って?
当事務所は従業員数2,30名の中堅規模の事務所になりますので、中堅規模の強みを活かした迅速でフットワークの軽い対応はもちろん、一人ひとりのお客様に寄り添った、質の高いサービスを提供しているところが特徴です。
弁理士は、発明をより良いモノに仕上げていくことも仕事なので、そのためにお客様のやりたいこと、思いなどお話をしっかりとお聞かせいただき、どんな些細なことでも汲み取れるよう心がけています。もちろんプロとしてのプライドは持ちつつも、決して上から目線ではなく、利益を第一に考えたお客様ファーストの対応を大切にしています。
私自身が開発者としてキャリアをスタートしているので、開発者の気持ちがわかるところも特徴です。開発者の中には、会社から特許を出すように言われて開発しただけで、たいしたモノではないと思ってしまっている方もけっこういらっしゃいます。しかし、実際に私自身弁理士の仕事をやるようになって思ったことは、開発者の方が思っている以上にすばらしい発想をされているのにもったいないということです。そんな私自身の経験も踏まえつつ、開発者の立場に立った、寄り添ったアドバイスができるのも強みです。
また、発明というのは、実際のモノなので、メーカー勤務時代の10年間で開発物を直接たくさん見てきた経験も今の仕事に生きていると思います。
企業知財の経験もありますので、知財部が特許出願の件数を達成するために、できる限り発明を出願に持っていかなければならない事情も理解しています。そういった経験から開発者の立場と企業知財の立場も踏まえ、どちらか一方の考え方に偏らない広い視野を持って対応させていただきます。
今後の弁理士業界についてと先生の展望を教えてください。
日本の特許出願件数は増加していないので、仕事としては頭打ちで、現状維持がやっとだと思います。ただ、弁理士業界も高齢化が進んでいるので、他の事務所に吸収されたり、事務所を閉じてしまうところがある中で、競争で生き残った事務所は現状維持以上のことができるのでは思っています。
今流行りの「ChatGPT」などのAIの精度が今後上がってくると、今まで弁理士が特許出願書類にかけていた作業工数を削減することができます。実際に、大半のことはAIが取って代わるということは誰もが予想できるくらいのところまで発展してきています。今後は弁理士として、新しいこと、付加価値を高めていくようなことをしていかなければ厳しい業界になっていくかもしれません。
今後に関してですが、大規模な事務所に発展させることは考えていません。今の組織を経営的に盤石にするために多少の増員はするかもしれませんが、引き続き、中堅規模の強みを活かしつつ、高品質なサービスを提供していきたいと思います。
また、特許事務所としてだけ存在する事務所にとっては今後厳しい業界になっていくと思っているので、将来的な目標として、特許事務所が製造メーカーを運営するようなホールディングス化をしたいと考えています。
技術があっても特許出願をしていない企業は世の中にたくさんあります。出願しただけでは儲からないので、あまり必要性を感じていないのです。そんな技術力はあるにも関わらず、知財分野が弱く、価格競争に負けてしまっているような製造メーカーを取り込み、知財の面から一緒に企業価値を高めていくことが特許事務所としての1つの成功事例だと思っているので、実現に向けて動いていきたいと思います。