相談者の方のお悩みに対して、親身に寄り添い、真っ直ぐにお話を聞かれている寺林先生。家事調停官の経験もあり、多角的な視点で解決へと導いてくれます。そんな先生に事務所の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
【著作】
「裁判員裁判における量刑」(現代人文社。共著)
その他、ウェブサイトでの記事執筆多数
所属弁護士会:東京弁護士会
先生が弁護士になったきっかけは?
小学校5年生くらいの頃に、NHKの「事件」というドラマを見たことがきっかけです。「事件」は若山富三郎さんが主演で、国選の刑事弁護という儲からない仕事を地味にコツコツやる弁護士役を演じていました。そのドラマを見て、世の中にはこんな職業があるのかとすごく衝撃を受けたことをきっかけに弁護士を目指すことにしました。
寺林智栄先生の特徴って?
弁護士に相談に来られる方は、大変な目にあって精神的に追い詰められている方やどうしてもご自身の気持ちが先に立ってしまい物事をうまくまとめて話すことが難しい方など色々な方がいらっしゃいます。相談に来られた方がどういった状況にあるのかを考えながらその方に合った対応ができるところが私の強みです。
話を聞く際は、偏見や先入観を持たないように気をつけています。どうしても弁護士としての年数が長くなり様々な事件を経験すると、その事案はこのパターンに当てはまるのではと思ってしまう部分が出てきます。しかし、相談者様が言っていることがなによりの真実であることがほとんどなので、偏見や先入観を持たずに真っ直ぐに話を聞くことを心がけています。その上で、例えば、紛争の相手方の人格や家族状況、解決できる落としどころがどのへんにありそうかなどを考えながらお話を聞くようにしています。
私が1番注力している分野はいわゆる家事事件で、中でも離婚問題や親子を中心とした親族間の紛争が中心です。私は2013年10月から2017年の9月まで東京家庭裁判所の家事調停官をやっていました。家事調停官は、家事事件手続法という法律に基づいて設けられている、調停の範囲内でだけ裁判官の権限を持てる、いわゆる非常勤の裁判官です。調停官の経験を積んだことにより、弁護士だけでなく裁判官の目線も踏まえて、事件に対する考え方や見通しについてお話することができます。
依頼者様の意向をこまめに確認すること、報告・連絡・相談に非常に気を遣っています。弁護士に依頼したものの何がどこまで進んでいるかがわからない、依頼したことと弁護士が全然違うことを言っていたなど不満や不安をもたれてセカンドオピニオンで相談に来られる方も多いです。弁護士が事件を解決できたと満足していたとしても、最終的に依頼者の方にとって満足できる解決ではなかったというケースもあると思います。私は、今どのような状況にあるのか逐一報告し、依頼者様の意向を踏まえながら、今後どのように進めていくかをご説明することを常に心がけています。
今後の弁護士業界についてと先生の展望を教えてください。
弁護士業界は二極化していくと思います。東京などの都市部ではすでに大きな事務所が支店を出して大規模展開をしていくという動きが進んでいると思います。中規模の事務所もどんどん大規模化していく一方で、個人事務所で職員を雇わず職人的にこじんまりとやっていく弁護士も増えていき、二極化していくのかなと思っています。
大規模展開している事務所を見ていると、離婚問題に続々と参入してきている事務所が増えている印象です。そのため、今後は今まで弁護士をつけないでやってきた離婚調停や不貞をして訴訟を起こされた側にも弁護士がついて対応していくことがもっと当たり前の世の中になっていくのかなと思います。これまで離婚問題ではそこまで専門性が求められる分野ではなかったのですが、今後は通り一辺倒のことができるだけではなく、より専門性の高さも求められていくようになっていくと思っています。
今後に関してですが、中小企業の顧問業務にもより力を入れてやっていきたいと考えています。大企業は法的な問題が起こった際に、顧問弁護士を抱えていたり、法務部が整備されていて、きちんとリスクマネジメントが法的な部分でもできるところが多いと思います。ただ、中小企業の場合、まだまだ不十分なところもあり、例えば、契約書を作る際も、インターネットから雛形を引っ張ってきて作ったものの、企業の実態に合っていないことも多々あります。細かいところで弁護士に相談しなかったがために、法的な紛争になってしまったということもあるので、そういったことを未然に防げるよう、廉価なプランの顧問契約サービスも打ち出しているところなので、中小企業や個人事業主の方がより弁護士を頼りやすくしていけたらと考えています。
動物問題についても今後は取り組んでいけたらと思っています。ペットが起こした事故やペットが被害を受けた事故に関する損害賠償問題はもちろん、例えば、多頭飼育崩壊の問題が起こったという話が話題になることがあると思いますが、ある団体が多頭飼育しているところから動物を引き取るとなった際に、所有権の放棄書を持っていなければトラブルになることもあります。なので、そういったペット関連の損害賠償問題以外のところで起こる問題に関しても、弁護士の視点から手を入れて、その後のトラブルを防いだり、円滑に動物の保護ができるように力になりたいと思っています。