日本語だけでなく、英語、タガログ語等の外国語での対応が可能な井上先生。(旧)東京入国管理局内の「外国人在留総合インフォメーションセンター」で業務管理者として勤めていた頃の知識・経験も活かして日々業務にあたられています。そんな先生に事務所の特徴や今後についてなどインタビューさせていただきました。
保有資格等
2021年 行政書士(2021年8月~申請取次行政書士)
2020年 外国人雇用管理士
2019年~ 東京出入国在留管理局 通訳人(英語・タガログ語・スペイン語)
2010年 警視庁専門職種Ⅰ類(通訳 タガログ語)1次選考合格
2004年 実用英語技能検定1級
先生が行政書士になったきっかけは?
私は愛知県の出身で、身近にブラジル、中国、フィリピン、ペルーなどから来られた方達が多く住んでいる地域で幼少期を過ごしました。子供の頃は外国人の方達と直接関わることはほとんどなく、また話している言葉も全く理解できませんでしたが、何をしている人たちなのかなという関心は持っていました。中学・高校生の頃になると、そこで生活している人たちの中には母国に家族を残し、出稼ぎ目的で日本に来ている人たちがとても多いという事が分かってきました。そして同時に、日本人と同じ条件で仕事を見つけることはとても難しいという事も知り、何となく「将来彼ら彼女のためになる事ができたらいいな」と思うようになりました。
東京の大学に進学後は、学業の傍ら外国人在留支援のサポートを行うボランティア活動にも参加しました。その中で気づいたのは、外国人の方達は在留資格がなければ正規に滞在できないという事でした。在留資格を取得するためには多くの条件があるので、それをひとつづつ満たしていくことが正規滞在の鍵になります。ボランティア活動を通じて、将来は在留資格の手続きをサポートする仕事がしたいと思い、これらを専門で扱う事の出来る行政書士を目指すことにしました。
国際行政書士 井上イミグレーション・コンサルティングの特徴って?
一つ目の特徴として、英語以外にもタガログ語、スペイン語等での対応が可能な事務所という点です。これまで日本語以外にもこれらの言語で在留資格や各種手続きの相談を行ってきました。また上記3言語については、2019年より東京出入国在留管理局にて通訳人として登録もしており、月に3~4回程度入管職員と外国人の方との間に入り通訳を行っています。
二つ目の特徴として、在留資格に関する相談経験が豊富にあるという点です。行政書士として開業する前、(旧)東京入国管理局の中にある「外国人在留総合インフォメーションセンター」で業務管理者を勤めており、日々何十件も在留資格や関連する多くのご相談に対応してきました。そこで培った知識・経験が今の業務にも少なからず活きている事、また実際に審査する側の考え方や対応のポイント等についても理解している点が大きな特徴です。
加えて、弊所にご相談に来られる際には安心して相談していただけるよう、相談者の気持ちを大事にすることを心がけています。とりわけ外国人の方達にとって在留資格に関する相談というのは物凄く神経を使われる事なので、できる限り安心していただけるように丁寧にアドバイスをしています。
例えば以前不許可になったある申請の理由を入管職員に聞く際、「不許可になった理由を聞いたら怒られるのでは」、「また不許可になってしまうのでは」と思われていました。しかし不許可の理由を明確にした方が次回の申請時の対策を立てやすい事、また杞憂を減らすという意味でもまずは理由を確認した方が良いという事を丁寧にお伝えし、そのうえで安心してご依頼いただく等、申請を提出する前の過程を大事にしています。
今後の行政書士業界についてと先生の展望を教えてください。
新型コロナウイルスの影響で、今は外国人の方達が日本に入国するというのは難しい状況ですが、再び自由に入国できるようになれば、入管業務を行いたいという行政書士の先生の数は増えていくと思います。ただ、今後入管手続きの需要は増えていっても、受入れ後の事もきちんと見据えてアドバイスができる先生が最終的には残っていくのではないかと感じています。
在留資格というのは外国人の方達にとって非常に重要なものであることは既に述べましたが、彼ら彼女らはの多くは中長期の在留を希望しており、単純に中長期在留者総数の推移だけ見れば今後も極端に減る可能性は低いかと思います。事実、特定の産業分野で外国人〇〇人材を積極的に受入れていこうという方針や、さらにはその方達が最終的に日本に永住できる可能性も出てきています。すると、日本に在留している間に転職・退職、結婚、出産等人生の節目になる場面は自ずと生じ、その合間合間で入管にお世話になる場面というのも増えてきます。こういった一連の流れについても説明でき、いつ何をしたら良いか道しるべを示してあげられる、更に言えばその道しるべを日本語以外の言語でも示す事ができる行政書士というのが相対的に強くなっていくのではないかと考えています。
私の将来的な展望として、外国人の方達が地域における生活者として日本に定着してもらえるような仕事をしていきたいと考えています。外国人の活動内容というのは個々に有する在留資格で定められているのですが、地域における生活者としては基本的には日本人と何ら変わりません。それぞれの状況や置かれた環境は異なるにしても、どうにか彼ら彼女らが地域社会に貢献できるような場や機会を設け、その地域に愛着を持って住んでもらえるような支援ができればと考えています。
もう一つの展望として、30年ほど前、主に中南米から受入れた外国人の方達が今現在どのような状況にあるのか、そして今私たちが主に東南アジア諸国から受け入れようとしている外国人の方達が今後10年、20年、30年後日本の地域社会にどのように影響していくのかを正しく理解し若い世代に伝えていきたいと考えています。人の国際移動というのは捉えるべき時間軸が長く、また多くの課題が複雑に絡まっていると感じる反面、色々な要素が盛り込まれており非常に魅力を感じる分野でもあるので、行政書士という立場からも、そして一個人としても永く携わっていきたいと考えています。
最後に、若干お節介なくらい…と自認もしているのですが、相談事にはとことん付き合う性格なので(笑)、在留資格や外国人の方達についてご不明な点があれば些細な事でもお問い合わせいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします!